このページはJASS5(2015)と標準示方書施工編(2012)で確認しました。

設計 製造・運搬 打込み・養生 計算シート

フレッシュなコンクリートは-0.5〜-2℃で凍結するとされています。
コンクリートが凍結すると言っても、セメントや骨材が凍結するのではありません。
水が凍結して9%の体積膨張することによって、コンクリートの組織が脆くなるのでその後の強度増進は期待できません。
冬季のコンクリートの打込みでは凍結を防止するとともに、計画的な養生でコンクリート強度を確保することが重要になります。

1・適用期間(1981年〜2010年の平滑平年気温より計算)
建築(2015) 土木(2012)
適用期間 (1)打込み日を含む旬の日平均気温が4℃以下の期間
(2)コンクリートの打込み後91日までの積算温度M91が840°DDを下回る期間
(1)は12月8日が3.9℃、3月18日が4.0℃ですので、12月1日から3月20日が適用期間になります。
(2)は秋田市の場合、該当しません。
日平均気温が4℃以下になることが予想される時
最近の気象データによると、秋田市では12月8日から3月18日が4℃以下になります。
建築では適用期間を旬で決定しています。
日平均気温の表を見ると、12月8日に3.9℃があるので12月上旬が始まりになります。
終わりは3月18日の4.0℃がある3月20日になります。
91日間の積算温度は、最低でも998°DD(12月11日〜12月13日)で840°DDを下回る期間はありません。

2・コンクリートの品質
建築(2015) 土木(2012)
品質 調合管理強度Fmは、設計基準強度Fcまたは耐久設計基準強度Fdに構造体強度補正値s値(28S)を足した値です。
この強度を呼び強度としてご注文ください。
s値は3,6,9から選定してください。
所要のワーカビリティーを確保し、できる限り少ない単位水量にしてください。
建築では、高強度コンクリートの考え方と同じです。
品質基準強度または耐久設計基準強度のいずれか大きい方にS値(構造体強度補正値)を足した値が調合管理強度になります。
設計基準強度Fc、耐久設計基準強度Fd、品質基準強度Fq、材齢m日における標準養生供試体強度と材齢n日における構造体コンクリート強度の差mSn、調合管理強度Fmとすると、FqはFcまたはFdの大きい方、Fm=Fq+mSnになります。

土木では、均質性・ワーカビリティー・充填性・ポンプ圧送性・凝結特性を基に、強度、耐久性、水密性、ひび割れ抵抗性を考慮してコンクリートの品質を決定します。

3・材料
建築(2015) 土木(2012)
セメント ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントのJIS適合品
長期の場合はポルトランドセメントまたは上記の混合セメントはA種、超長期の場合はポルトランドセメントを原則とする。
普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントを標準とする。
水和熱によるひび割れの問題があるときは、混合セメントB種等を使用できる。
混和剤 JIS A 6204適合するもの
それ以外の混和剤は、品質を確認して工事監理者の承認を得る
JIS A 6204若しくは土木学会基準に適合し、低温下で安定した品質のもの
混和材 フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、膨張材はJIS適合品
それ以外の混和材は、特記による
 
ポルトランドセメントには普通・早強・超早強・中庸熱・低熱・耐硫酸塩、高炉セメントにはA種・B種・C種、フライアッシュセメントにはA種・B種があります。(緑色は当社で標準化しているセメントです)
一般的には普通セメントの使用が多く、早強セメントが凝結促進の点から有利です。
高炉セメントやフライアッシュセメント、AE減水剤遅延形や高性能AE減水剤などは凝結が遅いのでお勧めできません。
どうしても使用する時は初期凍害を受けないように注意してください。
気温が氷点下でも簡単な養生で凍結防止が可能な混和剤を使用する場合は、塩化物やアルカリの含有量をご確認ください。

4・調合、配合
建築(2015) 土木(2012)
調合・配合 構造体コンクリートの初期凍害防止に必要な圧縮強度(5.0N/mm2)の確保、及びせき板の取外しや支保工解体のための強度確保、更に打込みから91日以内の予定した材齢での品質基準強度の確保の3つを満足するように調合しなければなりません。
調合は
(1)調合管理強度及び調合強度による方法
(2)積算温度をもとに定める方法
のいずれかで定めます。
調合管理強度は24N/mm2以上です。
表1・コンクリートの耐凍害性をもとに定めるAEコンクリートの最大の水セメント比
気象条件
激しい、しばしば凍結融解 激しくない、氷点以下が稀
断面
構造物の露出状態 薄い 一般 薄い 一般
水で飽和する場合 55% 60% 55% 65%
普通の露出状態 60% 65% 60% 65%
空気量 4.5〜5.5%の範囲で特記で定めます。 練り上がり時に4〜7%が一般的。
長期的に凍結融解を受ける場合は所要強度を満足することを確認の上、6%程度。
建築では(1)で調合を組むのが一般的です。
材齢28日までの養生温度(予想日平均気温)によって強度が違ってきます。
寒中コンクリート調合強度計算シート をご利用ください。
土木では気象条件と構造物の露出状態及び断面の厚さで水セメント比が決まります。

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5・生コンの製造・運搬
建築(2015) 土木(2012)
コンクリ
ート温度
荷卸し地点でのコンクリート温度は10〜20℃です。
日最低気温が0℃を上回る期間の工事で有効な初期凍害防止対策をした場合、マスコンクリートや高強度コンクリートなどで打込み後に水和熱による十分な温度上昇が見込まれる場合は下限を5℃にできます。
打込み時のコンクリート温度は、5〜20℃の範囲とし、気象条件が厳しい場合や薄い部材では10℃程度、厚い部材でも5℃を下回らない程度にしてください。
コンクリート温度が高すぎると、所要のスランプを得るための単位水量が増加し、コンクリートの凝結促進、長期強度の低下に繋がります。
温度低下 最初の30分間は周囲気温との差の30%低下、それ以降は30分ごとに15%低下 1時間に周囲気温との差の15%低下
コンクリートの練上がり温度は、気象条件と輸送条件から荷卸し時に建築で10〜20℃、土木で5〜20℃になるよう調整します。
しかし、20℃に近くなると発生する蒸気によって打込み作業が困難になることや、製造設備・製造能力の関係からむやみに高い温度にすることは不適当です。
コンクリート温度の確保は水の加熱を最優先に考え、これで足りない場合は骨材を全体的に加熱します。
荷卸し時のコンクリート温度の下限を5℃にする場合は、工事監理者の承認が必要です。
土木用のコンクリートは単位水量が少ないので、水の加熱による温度上昇は建築用より低くなります。
粉体の加熱はムラが発生しやすいのでセメントは加熱しません。
練混ぜ時の瞬結を防止するため、セメントを投入する時のミキサ内の他の材料は、40℃以下になるように投入時間や投入順序を変更することがあります。
特に高温の温水を使用するときはセメントの投入開始を遅らせます。

その分、練混ぜ時間が長くなり、製造能力が若干低下します。
骨材置場には上屋があるので保管中に氷雪が混入することはありません。
配管内の混和剤は凍結しやすいので混和剤タンクに戻して保温します。
運搬中でもコンクリート温度が低下するので運搬時間を短くしてください。
JASS5(2009)によると、コンクリート温度は最初の30分間が外気温との差の30%、その後は30分間に外気温との差の15%低下します。
(練混ぜ時のコンクリート温度が15℃で外気温が0℃の場合、30分後に15-(15-0)×0.3=10.5℃、さらに30分後は10.5-(10.5-0)×0.15=8.9℃になります)
冬期間は道路の積雪や凍結によって交通事情が悪化します。
できるだけ現場に近い生コン工場を選ぶことが賢明です。

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6・コンクリートの打込み
建築(2015) 土木(2012)
打込み 十分な保温措置が困難な時は、荷卸し時のコンクリート温度を上げるか、外気温の著しい低下が予想される時は打込みを中止しなければなりません。 コンクリートの練り混ぜから打込むまでの時間を短くし、輸送管の保温対策を行い、コンクリート温度の低下を防いでください。
コンクリートの打継目が凍結している場合は、適当な方法で溶かした後に打継いでください。
鉄筋や型枠、打継ぎ等に付着している氷雪や霜は除去してください。
凍結した地盤上の支保工は融解で不等沈下や転倒を引き起こすので禁止されています。
コンクリート表面からの水分蒸発は気化熱で冷却を促進するので、打込み後は露出面を外気から保護してください。

7・初期養生
建築(2015) 土木(2012)
初期養生 初期養生は5.0N/mm2の圧縮強度に達するまでの期間
計画供用期間の級 短期・標準 長期・超長期
必要な圧縮強度 5 10
圧縮強度が4N/mm2以上になれば、凍害の影響を受けにくいとされています。
表2・養生終了時の圧縮強度
断面の厚さ
構造物の露出状態 薄い 普通 厚い
水で飽和する場合 15 12 10
普通の露出状態 5 5 5
養生温度 加熱養生の場合は目標温度は5℃です。
打込んだコンクリートのどの部分でも0℃になるようにしてください。
表2の強度に達するまでは初期凍結を防止するため最低5℃とするが、寒さが厳しい場合や部材が薄い場合は10℃程度を維持してください。
以後2日間は0℃以上を保ってください。
厚い部材では水和熱の影響で表面が20℃以上になることがあるので、養生後の急冷に注意してください。
養生日数 初期養生打切りを供試体の強度で確認します。
表8.1 湿潤養生の期間
計画供用期間の級 短期・標準 長期・超長期
セメントの種類 N 5日以上 7日以上
H 3日以上 5日以上
BB 7日以上 10日以上
湿潤養生打切りの圧縮強度(厚さ18cm以上)
計画供用期間の級 短期・標準 長期・超長期
必要な圧縮強度 10 15
表3・所要の圧縮強度を得る養生日数の目安
断面が普通の場合 養生
温度
セメントの種類
構造物の露出状態 N H BB
水で飽和する頻度が高い場合 5℃ 9日 5日 12日
10℃ 7日 4日 9日
水で飽和する頻度が低い場合 5℃ 4日 3日 5日
10℃ 3日 2日 4日
W/C=55%の場合
温度管理 計画通りに養生されたか確認するため、熱電対式の自記記録温度計によって、コンクリート温度と保温された空間の温度を測定してください。
コンクリートが凍結する恐れのない時は、施工空間と周囲の温度をバイメタル式自記温度計で測定することでコンクリート温度の測定が省略できます。
初期養生打切りの温度管理は、すべてのコンクリートが対象なので最も温度が低くなる部材で管理します。
構造体の強度発現管理は、施工荷重を負担する主要な構造部材と床スラブが対象になります。
断面が厚い構造物では、養生シートで外気温との温度差を小さくしてから型枠を取り外すか、表面が冷却されなくなるまで型枠を残してください。
参考例・養生終了後24時間の許容温度降下
断面 薄い 厚い
温度降下最大値 22〜28℃ 17℃
事前に試験加熱を行い、ヒーターの設置台数を決定してください。
暖められた空気の上昇によって下部から冷気が浸入するので施工階の下の階にもヒーターを設置するなど、全体が均一な温度になるようにしてください。
寒冷な環境では加熱された空気の湿度は低いので、コンクリートの水分蒸発に注意してください。
主要部材を断熱養生で強度補正値を抑制した時や管理材齢を延長した時は、断面の薄い部材で初期凍結を防止できるように加熱養生を併用するとよいでしょう。

8・保温養生
加熱養生(一般的) 断熱養生(大断面) 被膜養生(簡易)
養生上屋を設置してその空間をヒーターなどで5℃を目標に加熱します。
加熱養生では均一な加熱及び散水による保湿に注意してください。
断熱型枠にコンクリートを打込んで表面を断熱性のあるマットやシートで覆うものです。
コンクリートの水和熱を利用するものなので、部材断面の大きい時に使用できます。
シートなどで露出面を覆って風や水分の蒸発を防ぐことができます。
外気温が-2℃程度以上の時期の保温養生として有効であるが、コンクリート温度は10℃以上が必要です。
上屋の設置は降雪や労働環境に対して最も有効である反面、打込み量が少ない場合は不経済になります。
その場合でも養生覆いで風を防ぐとコンクリート温度の低下防止に有効です。
保温養生は加熱養生が一般的な方法です。
加熱養生終了時は、急激な乾燥と冷却を防いでください。
コンクリート内部と表面の温度差によってひび割れが発生したり、外気温とコンクリート表面の温度差から水分が急激に蒸発しまうため、型枠の取外し時期の検討やコンクリートの露出面をシートで覆うなどの対策が必要です。

設計 製造・運搬 打込み・養生 計算シート

建築では材齢28日までの予想平均気温から構造体強度補正値mSnを計算します。
また、型枠の取り外しや支保工除去の日程を検討する必要があります。

設計基準強度Fcが21N/mm2、耐久設計基準強度Fdが24N/mm2、スランプ18cm、粗骨材の最大寸法20mmで普通セメントのコンクリートの配合設計を示します。
品質基準強度Fqは設計基準強度Fcと耐久設計基準強度Fdの大きい方ですので、Fqは24N/mm2になります。
このコンクリートを12月13日に打込む場合、調合強度と型枠の取り外し及び支保工の除去の日を決定してみます。

最初にここをクリックして寒中コンクリート調合強度計算シートをダウンロードしてください。

T28のシートにコンクリートの打込みから材齢28日までの予想平均気温(℃)のデータがあります。
12/13の予想平均気温は1.6℃です。

普通ポルトランドセメントの場合、予想平均気温が0℃以上8℃未満の場合は、28S91が6です。
調合管理強度FmはFq+mSnですので、24+6=30です。
この強度で生コン工場に注文すれば、30-18-20-Nの生コンを出荷します。

次に初期養生打ち切りと型枠取り外しの日を決定します。
凍結防止の5.0N/mm2の圧縮強度を確保するまでの積算温度は、次の表のとおりです。

調合管理強度30と圧縮強度5の交点の積算温度は40です。
12/13から短期材齢の積算温度は、Mのシートで確認できます。

4日後の積算温度が50(積算温度は40以上が必要)になっています。
つまり、12/17には5.0N/mm2の圧縮強度を確保できます。
同様に6日後の12/19には10.0N/mm2の圧縮強度を確保するのに必要な積算温度65以上の75になります。
積算温度は予想平均気温で養生された場合の理論値です。
初期養生の打ち切りや型枠取外しは、供試体の圧縮強度で確認してください。

支保工の取り外しは、設計基準強度Fcが21、調合管理強度Fmが30、セメントがNの交点から積算温度が260以上が必要です。

Mのシートで12/13の翌日からの積算温度(予想平均気温+10℃)を足した値で260以上になる日は、22日目にあたる1/4の260です。
つまり、1/5に圧縮強度試験でFc=21以上の値を確認して、支保工を除去します。

これを自動的に計算するのが、「寒中コンクリート調合強度計算シート」です。

ご覧のように、打込み条件を入力すると今までの計算を自動的に処理してくれます。

寒中コンクリート調合強度計算シートをダウンロードできます。
 Date:2017-12-27 Title:寒中コンクリート File:WinterConcrete